
この軍産複合体という言葉はアイゼンハウアー大統領が1961年1月17日の、アメリカ国民に向けたさよなら演説で使ったのが最初です。
彼は軍人出身で第2次大戦に従軍していましたから、恐らく誰よりも早くこの新しく興ってきたグループの危険性に気がついたようですが、現役の大統領としては色々の制約があったのか任期中は何も言わずに、自分の任期が終わりケネディーにバトンタッチする直前に、ホワイトハウスから国民に向けてラジオとテレビを使って放送したのでした。
アメリカは真珠湾攻撃の前はモンロー主義を外交の柱としていて、アメリカ連邦軍は国内に留まっていましたから、国内の鉄を使った製造業は武器を生産する能力は十分にありましたが、それまでは武器・兵器製造産業は存在していなかったといってもよいのです。
しかし第2次大戦においてヨーロッパが戦場となり工場が破壊された結果、戦後は無傷だったアメリカ国内の産業が武器・兵器の製造と販売も含めて、世界中の復興に向けてその需要に応えてフル活動したのでした。
この頃アメリカは既に法人税で入ってくる税金の額を上回る金額を軍需費に使っていましたが、より大きな規模の軍需産業の拡大が必要になってきたのです。
冷戦中はソビエト連邦とアメリカの両方が、世界中の武器・兵器の供給に大きな役割を果たしていましたが、1991年のゴルバチョフ辞任に伴ってソビエトが崩壊した現在、アメリカがダントツの死の商人になっています。
ちなみに2000年の兵器売買の数字ですが、アメリカが369億ドル、2位がロシアで77億ドル、3位が中国で4億ドルとなっています。
これは取引として届出のあった数字ですが、この数字に出ない無償供与という名の武器・兵器の動きがあります。
参考:バージニアビーチで開かれた所謂小火器と呼ばれる、銃やナイフ類のショーの模様を撮影したビデオです。
日本人らしき東洋人や、若い黒髪(東洋人?)の女性が試写していますが、この人たちが買い手なのでしょうかね?
http://www.militarytimes.com/multimedia/video/070521smallarmsmoviemed/(2:19)
軍需産業は外国に武器・兵器を売るだけでなく、アメリカ軍の内部で必要な日常物資も供給していますが、レーガン時代に発覚したスキャンダルの内容は、彼らの本当の意図を知る上で非常に参考になります。
レーガンはスターウオーズ計画として知られる戦略防衛構想を立案しましたが、その影響か彼の任期中に防衛費の急激な増加をみました。
そしていくつものスキャンダルが発生しましたが、その中にトイレの便座に$600ドル、コーヒーポットに$3000ドルといった非常識な金額を請求して、それを政府が支払っていたことが発覚した事がありましたが、これなどは自分達の会社の金儲けだけしか頭にないという、軍需産業の体質を如実に物語る良い例ではないかと思います。
この体質が今でも全く改まっていないのです。
現在イラクでは国民の撤兵を求める声を無視してアメリカ軍の駐留が続いていますが、軍隊だけでなく民間企業に働く10万人の人間が存在しています。
2003年に始まった第2次イラク戦争は、過去に見られなかった各種の新しい出来事が見られますが、その中の一つに今まで軍人が行っていた作業を、民間の企業に下請けにだしているのです。
一般のイラク人を閉じ込めて虐待していることが発覚したアル・グレイブ刑務所の警備の一部は、ブラックウオーターという民間企業が請け負っているのです。
そして彼ら民間の人間は、軍人が一ヶ月で稼ぐ給料を一週間で稼いでいるのです。
こんな事実がわかると軍人は面白くないでしょうね。 イラク駐在の軍人のやる気が落ちているという話を聞きますが、自然の成り行きではないでしょうか。
また元来は石油添削業者のハリバートン(チェーニー副大統領が社長を勤めていた会社)が軍隊の食事の準備を請負い、飲み水やシャワーの水を供給し(この飲み水は67ヶ所の消毒設備のうち63箇所で全く消毒されていず、飲み水からマラリア等の病原菌が見つかったことが報告されています。) 個人の制服や下着は洗濯禁止令が出され 兵士達は個人で洗濯した方が綺麗だし、$3ドルあれば出来るし早く仕上がると不平を言いながらも命令に従ってハリバートンに出していますが、一袋の洗濯代としてハリバートンは$99ドルという金額を政府にチャージするのです。
元ハリバートンの従業員としてイラクで働いて、今はアメリカに戻ってきた多くの人の証言によると、トレーラー車が故障したら部品を取り寄せて修理して使うよりも爆破して新車を購入して、軍に請求書を回すのが通例なのだそうです。
フル装備で4万5千ドル程の車を購入して、25万ドルの請求をするのだそうです。
この法外に高い金額が一般国民の血税から支払われていますから大きな問題ですが、それにもまして問題が起きるのは私企業の体質にあるのです。
企業と言うのは利益を出す事が一番優先されるますから、経費節約を常に考えますからトレーニング期間の省略、監督する人間の省略等が行われているので、従業員は高給を貰っているだけで実際の役に立っていないのが現状のようです。
ブッシュ政権がイラクから兵隊を引き上げられないのも、強大な軍需産業が毎年高額の政治献金を出していることもあるのですが、強大な軍隊そのものが政府の政策に影響を及ぼしているのが大きな原因と思います。
その典型的な例としてラムズフェルド国防長官、ウオルフォウィっツ国防次官の更迭も軍隊が退役軍人用の雑誌上で更迭を要求したことが原因だったことは、よく知られた事実です。
第1次大戦後から第2次大戦までの約21年間の日本も、強大な軍に引っ張られて徐々に戦争拡大の方向の走ったことは、我々日本人はよく知るところです。
戦争というのは戦っている当事者双方にとって(勝利者にとっても)、大変な犠牲を強いられるものなのですが、何故戦争が止まないかという理由は私は2つあると考えています。
一つは経済的な理由です。 防衛予算が増えますから軍需産業が潤うのは言うまでもないことですが、戦争は広範囲な産業に好景気をもたらしてくれます。
ベトナム戦争のおすそ分けは日本にも及び、当時日本はベトナム特需という言葉が生まれるくらいに潤っていたのでした。
ベトナム戦争の当事国のアメリカは、一般の市民から5万8千人の死者を出し、一方のベトナムは自分達の国土が戦場でしたから、国土の荒廃と膨大な数の女・子供を含めた一般市民の死者は100万人を越え、当事者同士には大きな傷跡が出来ましたが、この戦争は高度成長が始まったばかりの日本の経済的な成長を手助けし、後にいざなぎ景気と名付けられた程の長期な景気成長をもたらしました。
金儲けがあるところ、常にそれを推し進めようとする輩が存在するのは、洋の東西を問わず同じようです。
もう一つは人間の性情からくると思います。
男という動物の常として、おもちゃを手に入れたら使ってみたくなります。
名刀を手に入れたら切れ味を試したくなります。
性能の良い銃器を手に入れたら使って見たくなるのです。
まして一日中戦略の事を考えている軍人に、新しく開発した銃火器、ミサイル等を持たせたらそれを実戦で試す場所が欲しくて、とるに足りない小さな争いをエスカレートさせて戦争を勃発させていくのは水が低きところに流れていくことと同じくらい自然なことではないでしょうか。
その良い例がイラクです。 劣化ウラン弾を無茶無茶に打ち込み、レーザーガンや電子レンジの原理を応用した電子銃によると推定される死者が報告されています。
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